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インスタリム、世界初となる3Dプリント義足事業をフィリピンにて開始


 3D-CAD、3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して低価格な3Dプリント義肢装具を開発するインスタリム株式会社は、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(以下、KII)および株式会社ディープコア(以下、ディープコア)への第三者割当増資により、総額8,400万円の資金調達を実施した。

 本資金調達により、フィリピンのマニラ首都圏で設立した現地法人を通じた世界初(※1)の3Dプリント膝下義足事業を本格開始するとともに、3Dプリント大腿義足などの新たな製品の研究開発を推進していく。

3Dプリント義足「Instalimb」

■ 同社が取り組む社会課題について

 従来の義足製作は、多大な製造過程・設備コストや、患者個人に合わせて製作する義肢装具士の技術力が必要となるため、1本あたり30~100万円(※2) と高価であり、またその納期は通常2~3週間程度かかることが一般的である。

 そのため、新興国・開発途上国を中心に、そのような高価な義足を購入することができずに、社会参画が困難となっている方々が多く存在している。フィリピン1国だけにおいても100万人以上(※3) が必要な義足を手に入れられていないという実態がある。


■ 同社のソリューションについて

 同社は、義肢装具製作専用の3Dプリンタ、独自アルゴリズムによる形状レコメンド機能などを備えた3Dモデリングソフトなどを含む、義肢装具のカスタム量産ソリューション(※4)を独自開発した。これにより、従来の約10分の1となるコストダウン・納期短縮を実現でき、新興国・開発途上国を含む多くのユーザに義足を提供することが可能となる。また、現在開発中のAIアルゴリズムを用いた全自動モデリング機能により、さらなるコストダウン・期短縮を目指している。

 本ソリューションは、フィリピン大学総合病病院と共同でフィリピンにて3Dプリント膝下義足の実証実験を行ってきた。被験者50名に対する実生活試用などの各種テストや製造プロセスの検証を完了し、製品化準備を完了させた。


■3Dプリント義足「Instalimb」

 実証実験の成功を受けて、5月よりフィリピンのメトロマニラ首都圏にオフィスを開設し、同地域での3Dプリント膝下義足事業を開始している。今回の資金調達により、3Dプリント膝下義足の販売活動を本格化するとともに、3Dプリント大腿義足などの新たな製品の研究開発を推進していく。

 本事業を通じて、当社のビジョン「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界を作る」の実現を目指し、日本発の新しいものづくりの在り方を提案していく。




※1 同社調べ。試供品提供ではなく、事業化を前提としたカスタム量産体制が構築された3Dプリンタ・CAD義足事業として。

※2 同社調べ。国際赤十字やインド系NGOなどによる寄付行為による、ほぼ無償での義足提供活動を除く。

※3 独立行政法人国際協力機構(JICA)「フィリピン国3Dプリント義足製作ソリューション事業基礎調査」による推計より。同国で膝下義足を必要とする障害者/足切断患者(49万人)および本来的に膝下義足を要する潜在ユーザとしての糖尿病性壊疽患者(74万人)の合計値。すでに義足を得ている約5万人程度(Bundoc, J, R. 2010. The Challenges of “Walking Free” form Disability, ACTA MEDICA PHILIPPINA, Vol. 44, No,2. を参照し当社が推計)を除き、118万人が必要ユーザと想定される。

※4 いわゆるマス・カスタマイゼーションを指し、ユーザ個人のニーズに応じたカスタマイズと、大量生産並みの低コストな供給を両立する生産システム。義足の提供には患者一人一人の断端(切断部)の形状に合わせた製造が不可欠であるため、世界的な普及には、低コストな大量生産とパーソナライズされた受注生産を兼ね備えた提供が不可欠となる。